ブロックチェーンにおけるユースケースの話題は多岐に渡ります。ブロックチェーンマキシマリストは、ブロックチェーンが世界を支配する世界を描いています。一方で、ブロックチェーンに懐疑的な人々は、ほとんどの用途はスマートデータベースで実現できると反論します。答えは両者間のどこかにあり、その答えがわかるまでにはそれなりの時間がかかりそうです。

インターネット、携帯電話、高解像度なデジタルカメラ、どこでも利用できるWiFiやモバイルネットワーク、クラウドコンピューティング、オープンソースソフトウェア、その他多くのイノベーションが世界の仕組みに与えた影響は誰もが認めるところでしょう。これらのイノベーションはビジネスモデルを根本的に変え、コミュニケーションにおけるすべての分野や形態に影響を与えました。

同様に、プログラマブル・マネー、デジタル・アイデンティティ、トークン化された資産、公開/秘密鍵、オープン・ファイナンス、分散型台帳、その他多くのイノベーションも、同様の変革をもたらすことは間違いないでしょう。ブロックチェーンの分野で働く人々にとって、分散化されたソリューションは必然的な進化であると言って間違いありません。彼らにとってWeb3.0は、インターネット、Web2.0、携帯電話、クラウドコンピューティングに並ぶ次の段階に過ぎません。

これはパーツ同士を合わせることで、単なる足し算以上の大きなものを創り出すテクノロジーの組み合わせであり、新たな機会と経済モデルを生み出します。しかし、このビジョンを実現するまでには時間がかかります。多くのコンポーネントやレイヤーを構築したり、成熟させたりする必要があります。この新興テクノロジーの重要なコンポーネントのひとつは、高性能で柔軟性をもつサイドチェーンを提供するセキュリティと実行レイヤーです。

弾力性のあるサイドチェーンの主な利点としては、トランザクションのスループットの向上、より迅速にトランザクションを完結する能力、トランザクションコスト削減などが挙げられます。これらの機能はすべて、ユーザー体験の向上のみならず、より持続可能な経済モデルにつながります。弾力性のあるサイドチェーンのその他の利点としては、ストレージ容量の増加やトランザクション処理をコントロールする機能の強化などが挙げられます。サイドチェーンの使用は、アプリ開発や新機能の導入を加速させることで、開発プロセスをサポートします。

このシリーズで取り上げたユースケースには、DeFi、予測市場、オンラインゲーム、コレクティブルカード、メディアストリーミングなどがあります。他にも多くのユースケースがあることは事実ですが、ここで取り上げたアプローチは、ほぼすべての分散型ソリューションに適用できるものです。

ユースケース #1 - DeFi

分散型金融(DeFi)は、ブロックチェーン業界で最も急速に成長しているカテゴリーのひとつです。理由は比較的簡単です。デジタルシステムの中で通貨が原始的なものとして見られ、より使いやすくなれば、その形態の通貨を使う人は急速に増えていくことでしょう。摩擦が少なくなるため、取引数は指数関数的に増加します。摩擦が少ないということは、一人当たりの取引が多くなるということす。

1800年代に人々が手紙を送る頻度は、月に一度でした。1900年代には電話が利用できるようになり、1分1ドルで他国へ長距離電話も可能になり、月に数回は電話をかけることができるようになりました。SMSは1通毎に0.20ドルを支払う代わりに、メッセージを1日に数通、送ることができるようになりました。世界でSMS利用がピークを迎えた時には、1日に20億ものメッセージが送られていました。その後、WhatsAppやEメール、その他多くのメッセージングアプリがメッセージ1通あたりのコストをゼロにまで下げ、メッセージングの爆発的な普及を後押ししました。今では毎日何千億通ものメッセージが送信されており、1時間に40通のメッセージを送信することも珍しくありません....

支払いのコストがSMSのレベルまで下がったらどうなるのでしょうか?無料の場合はどうなるのでしょうか?すべての支払いが本質的にグローバルなものになったらどうなるでしょうか?メッセージングと同じように、数桁以上のやりとりが発生すると想像されますが(1ヶ月ではなく1時間で40件の取引を行うことも珍しくなくなるかもしれません)、今日の私たちには奇妙に思えるような新しいタイプのやりとりも多く発生することでしょう....

- ブライアン・アームストロング、CoinDesk CEO兼創業者

SKALEネットワーク上に構築されているDappsのひとつは、デジタル通貨がどのようにして製品カテゴリーを変革し、既存のモデルを変えることができるかを実証しています。この開発者は、イベントソリューションのプロバイダーで、イベントの参加者がイベントの料金を支払うだけでなく、イベントの成功に基づいた支払いという形で参加者に報酬を与える方法として仮想通貨を使用しています。

このモデルは、伝統的に中央集権的で閉鎖的なビジネスモデルであったものを新たに取り入れたものです。イベントは通常、独自に、または投資家によるサポートを受けているプロモーターによって上演されています。これらのグループはイベントを運営するために多くの資金を使用し、プロモーターおよび投資家に利益を分配します。

この開発チームはSKALEネットワークを利用して、人々がイベントを運営し、参加し、利益を得る方法を変えようとしています。彼らが行っていることは、イベントのクラウドソーシング化です。イベントが成功すれば、その潜在的な利益と引き換えに、参加者に事前に資金を投入してもらいます。商品、飲食物、チケット、放映権、その他の収益源の販売から利益を得た場合、これらの早期参加者/スポンサーは、合意された料金スケジュールに基づいて支払いを受けることになります。このモデルでは、参加者はイベントに参加するだけでなく、イベントに人々を参加させ、イベントの成功を高めるインセンティブを得ることができます。

確かに、こうした仕組みはブロックチェーンネットワークを使わなくても実現可能です。しかし、この場合、仮想通貨はシステムに通貨を入れるだけでなく、支払いを計算して記録するための透明性が高いメカニズムを提供するという重要な役割を果たしています。開発者はスマートコントラクトを使って、参加者やスポンサーが参加しているイベントを記録し、イベント終了時に参加報酬を支払うようにしています。

当分の間は、法定通貨と仮想通貨の両方を利用できる予定です。法定通貨による支払いは、システム内でそれらをトークン化し、システム全体でこのトークンを使用します。イベント終了時に支払いを行う場合は、ETHを介してアカウントホルダーの公開鍵に直接送金することも、法定通貨に変換して従来の支払い方法で支払いを行うこともできます。デジタル通貨の利用を前提に設計されていることとシステムの透明性は、単純なことのように見えるかもしれませんが、透明性と信頼性の観点から見ると、非常に大きな意義があります。

開発の観点から見ると、柔軟なサイドチェーンの使用は処理を高速化するだけでなく、取引手数料を劇的に削減することができます。このシステムをEthereumメインネット上で実行するのは不可能に近いことですが、SKALEネットワーク上で実行することで経済的にも有利になります。


要件リスト:分散型金融(DeFi)


ユースケース #2 - 信頼できるスポーツベッティング/予測市場

ブロックチェーンベースのスポーツベッティング(賭け)は、上記と同様に有望なDappカテゴリであり、柔軟なサイドチェーンのユースケースとして当然視野に入ります。主な利点は、サイドチェーンが提供するガス料金の削減と、より迅速なトランザクションの確定です。トランザクション手数料の負担をユーザーに課すことは、利用と普及を妨げてしまう可能性があります。一方で、Dappにトランザクション手数料を強制的に負担させることもまた、長期的に継続的なモデルとはいえません。

スポーツベッティングでは、Dappsがメインネットから複数のサイドチェーンに変換されるのをよく目にします。ベッティングの回数が限られているうちは、メインネットのトランザクション手数料を支払うことは、それほど苦痛ではないでしょう。しかし、トランザクション量が増え始めると、ガス代が大きな懸念材料になってきます。

- SKALE Labs グローバルソリューションエンジニアリング担当バイスプレジデント クリスティン・ペリー氏


SKALEネットワークで活動している開発チームが、Ethereumネットワークを利用してベッティングの透明性を高めるスポーツベッティングDappを作成しました。運営する上での通貨としてDaiを使用し、ユーザーはNFL、NBA、NHLを含む様々なスポーツにベッティングできます。

ユーザーひとりあたりのベッティング数はそれほど多くないかもしれませんが、全体のトランザクション数は多くなる可能性があります。そのため、弾力性のあるサイドチェーンを使用してトランザクション手数料を削減することは、エコシステム全体に大きく影響します。このソリューションを実現する鍵のひとつは、パブリックメインネットとSKALEネットワークの間で通貨とトークンの保管を効果的に処理できるようにすることです。

メインネットとSKALEネットワーク間の価値交換は、チェーン間のメッセージングを介して行われます。これにより、チェーン間で利用できる鍵のセットを作成します。この一連のプロセスの第1ステップは、仮想上の入金先に相当するモジュールを介する転送により、Ethereumメインネット上のトークンを凍結(ネット上にトークンを固定)します。第2ステップは、ネットワークがSKALEネットワーク側でトークンのクローンを作成することです。このステップでは、トークンをやりとりしている人にはあたかもEthereum上の本物のトークンを取引しているかのように、これらのクローンを取引できます。

バックエンドでネットワークがやっていることは、入金ボックスに存在するトークンへの参照先(特定のトークンへのアクセスを容易にする印のようなもの)を作成していることになります。BLS閾値署名暗号によって保護されたこれらのクローンは、1つまたは複数のSKALEサイドチェーン内で移動することができます。また、これらのクローンは、多額の取引手数料を発生させることなく、任意の数の異なるユーザー間で移動することができます。

ロックアップ期間は、ベッティングの内容によって異なります。スーパーボールやワールドカップの決勝戦のようなものでは、出場チームが決定してから試合が終了するまでがロックアップ期間となります。ファンタジースポーツのリーグやポーカートーナメントの場合は、リーグやトーナメントに参加してから結果が決まるまでです。

ベッティングの結果が確定するとほぼ即座に、プロトコルからロックアップした資産が配分されます。トークンの保有者(元所有者でも新規の所有者でも)が退出を希望すると、DappはSKALEサイドチェーン内でクローンを焼却し、ネットワークが入金ボックスへのフックを解放して、メインネット上で新規トークンを生成します。インターチェーンメッセージングは現在ERC-20とERC-721で動作していますが、今後はステーブルコインを含む他の規格のトークンもサポートする予定です。

要件リスト:スポーツベッティング

ユースケース #3 - オンラインゲーム

オンラインゲームは、ブロックチェーンを革新させるポテンシャルを持つ、人気のあるカテゴリーのひとつです。なぜなら、新しい技術を使って遊びたい、と思う開発者が多いためです。しかし、すべてのゲームがブロックチェーンに適しているわけではありません。たとえば、一人称視点のシューティングゲームに求められる3D機能やパフォーマンスは、ブロックチェーンの利用では許容できないかもしれません。同時に、ゲーム空間内での資産の連携、分散型マーケットプレイス、デジタル通貨、分散型ベッティング機能などが、急速に成長しているゲームエコシステムの中で、特にMMOやコレクターズのように市場経済や取引経済がゲームの中で重要な役割を果たしている分野で、どのように魅力を発揮するかを予見することは、比較的容易だと考えられます。

サイドチェーンソリューションをオンラインゲームに適用すると決断するのは簡単です。それがSKALEネットワークであろうと、他のチェーンであろうと、ゲームを動作可能なものにするためにはレイヤー2のソリューションに移行しなければならないことをプロセスの早い段階で認識しています。ゲームプレイのスピードアップとガス代を削減できることは、無視できない魅力があります。

- SKALE Labs グローバルソリューションエンジニアリング担当バイスプレジデント クリスティン・ペリー氏

ゲーム内での行動を記録・保存する重要性を考えると、多くのゲームを分散型アプリとして開発することは理にかなっています。特にゲームが拡張的、派生的な価値を持っている場合には、ゲーム内の行動を記録・保存する価値を小さく考えてはいけません。たとえば、他の人のバトルを見て、それにベッティングできるバトルゲームを考えてみましょう。

SKALEネットワーク上で構築されているゲーム開発者のひとりは、プレイヤーが帝国を構築し、他のプレイヤーと戦うことができる戦略戦争ゲームを構築しています。プレイヤーの行動のすべて、すなわちプレイヤーが所有している土地、軍隊、および他のゲーム資産を検証する際に、複数のSKALEサイドチェーンに格納されている透明性の高いデータが使用されます。

この開発者は、プレイヤーが自分の世界を構築し、征服戦略を実行するときに、ゲームのアクションが速くなるようにしたいと考えています。彼らの主な目標は、ブロックチェーンをベースにしたゲームを、World of Warcraft、Final Fantasy、Starcraftなどの他の多人数参加型オンラインリアルタイム戦略ゲームと同じような見た目、操作感、パフォーマンスにすることです。

この場合、ゲームのイベントだけでなく、資産の作成、譲渡、所有権の記録として、普遍的で透明性のある記録を持つことが最も重要です。評判の良いスマートコントラクトと組み合わせたブロックチェーンは、この条件に自然にフィットします。資産はスマートコントラクトに入り、結果に応じて算出された分量が支払われます。結果の公平性に疑問を持つことは非常に稀で、配布に関する条件はすべてコードに記載されています。

この開発者は、ゲームの公平性を維持するために、SKALEネットワークを使用してゲーム内の動きとゲームの状態を記録しています。イベントの記録は、想像しているほど簡単ではありません。ゲームのプレイは非常に複雑であることが多く、その結果、スマートコントラクトが多くのコードにより記載されていることが一般的です。

この複雑さは、メインネット上で実行する際に大きな問題となります。大規模なガス代と非常に長いトランザクション時間が、特に大きな課題です。プレイヤーが資産を移動して戦略を実行するのに15秒から1分も待たなければならないとしたら、プレイヤーはすぐに興味を失います。そのため、ゲーム開発者は、多くの場合、チェーン上で物事を最終的に完了させることができない、という意味でおおざっぱにコードを書いています。

しかし、ゲーム開発者がサイドチェーンソリューションに移行すると、ブロックチェーン上での開発についてあれこれと悩む必要がなくなります。ゲームを開発するだけでいいのです。ブロックチェーンを使っているふりをするのではなく、実際にブロックチェーンを使っているのです。複数のサイドチェーンを利用することで、開発のスピードアップ、ゲームプレイのスピードアップ、運用コストの削減が可能になります。開発者とゲーマーの心の中では、ブロックチェーンを使うことですべてが解決するのです。


要件リスト:ゲーム

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この記事は2部構成の記事の前編です。後編では、コレクターやコンテンツストリーミングなど、ここでは紹介しきれなかったユースケースについて解説します。

参照先:https://skale.network/blog/use-cases-for-elastic-sidechains-part-1-of-2-defi-trustless-sports-betting-games/